のうさぎ文庫

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つくば市上広岡の住宅地「野田団地」の中にある小さな図書館が、のうさぎ文庫です。
オーナーは、阿部さんという女性で様々な子供のための自然遊びなどの会を行ったりされています。
のうさぎ文庫は、週に1日、土曜日の午前中だけ開いています。
壁いっぱいに並べてある色とりどりの様々な絵本を読んだり、紙芝居をしてもらったり、手作りの木のおもちゃで遊ぶことができます。
折り紙を折ったり、カゴを作ってみたり、毎週通って編み物を習っている子もいました。
子供が何かをやってみたいと言ったら、それを楽しむためのコツや面白いことをどんどん教えてくれます。
でも、「今日はこれをみんなでやります!」というような窮屈な雰囲気は、ありません。
子供の気持ちや気分ややりたいことを尊重したとても自由な空間がそこには、あります。

「子供を迎える」「子供を見守る」という行為は、子供を安心させ「わたしは、大丈夫」という「安心の種」を植える大事な行為です。
何かを記憶させたり、鍛えたり、覚えさせたり、ということは、ある程度大きくなってからでも本人のやる気でできます。
でもこの「安心の種」を植えることは、小さい頃しかできません。
この「安心の種」を大事に抱えて子供たちは大人になり、一人で生きて行く勇気に変えていくのだと思います。
誰かが「大丈夫って言ってくれた」「見ていてくれた」「迎えてくれた」、そういう思い出が、その子とその子のその後の人生をずっとそっと支えてくれると思います。
何もしない、見守ることは、「自分を信じる」という、とても大きなものを子供に与えていることになると思います。

以下、常陽新聞の記事です。
のうさぎ文庫の様子が、わかります。
もし自分と波長が、合いそうなら、ぜひ行ってみてね♪

http://www.joyoliving.co.jp/topics/200809/tpc0809066.html

タイトル:なんだか楽しい小さな図書館

取材対象先:のうさぎ文庫 阿部きよ子さん

つくば市上広岡の野田団地内にある「のうさぎ文庫」は、毎週土曜日になると近くの子どもたちでにぎやかになる。34年前、東京出身の故・阿部雪枝さんが筑波研究学園都市ができて間もない街に希望の詰まった児童文学を届けたい―と開設した私設図書館は今、娘のきよ子さんにバトンタッチ。公立図書館が増えた今も、小さな文庫は地域の中で静かに息づき、子どもたちをやさしく見守っている。

「お~い、阿部さ~ん!」「こんばんは。ねぇ、上見てごらん」「月がきれいだね」「またあした」「うん、あした」。

外から近所の男の子に声を掛けられ、数年来の友達のように応えるきよ子さん。涼しい風が吹き込む高床式の文庫は1974年(昭和49)に開館。前年に筑波大学が開学し、徐々に研究所や住民も増え始めたが、街には公共図書館がなかった。

阿部さん親子は東京・練馬区出身。家の玄関を入ると本棚があって、夏休みには近所の子どもに貸し出していたほどの読書一家だったが、通っていた中学校には図書室もなく「何しろ練馬区でさえ一つしか図書館がなかった時代ですから」。時は高度経済成長期の真っ最中。競争社会が始まるとともに、物質的な豊かさが国民にあすへの希望を与えていたが、開発が進むにつれ自宅周辺の風景は一変。近くに環状七号線ができ遊び場がなくなり、60年代の終わりには東京の原風景は姿を消した。

そんな中、阿部家のルールはまさに時代と逆行。遊びは外、お金を出して買っていいのは本だけ。食べ物は自分たちで作り、「自宅の門さえも手作り。今で言うDIYね」。生活は質素だったがいつも母親の手料理が食卓に並び、毎晩のように物語の世界に浸った。

夏草が生い茂る文庫
そのころ雪枝さんたち主婦の間で一つの運動が起きた。それまで子を持つ母親は行政の子育て政策に期待するばかりだったが、今度は自分たちで声を上げていこうと動きだした。

質の良い児童書での教育を目指していた雪枝さんたちグループの合言葉は「ポストの数ほど図書館を」。さっそく仲間たちと「子どもにとって良い本とは何か」と勉強会を開き、67年(昭和42)手持ちの本775冊で、「江古田ひまわり文庫」を開設。その後つくばに家を建てたのを機に運動の輪を広げ、当時は空き地が多かった野田団地内を飛び跳ねていた野ウサギから名前を取り、74年(昭和49)蔵書525冊で「のうさぎ文庫」を開館。10年後に雪枝さんが亡くなってからは近隣住民が交代で管理、週末だけ東京から通っていたきよ子さんも2004年に引っ越してきた。

文庫は毎週土曜日の午前中に開館。誰も来ない日もあれば大勢でにぎやかな日もある。子どもたちは今では約2000冊まで増えた絵本や物語、図鑑を読んだり、ダンボールのおもちゃ、積み木、折り紙、輪投げなど思い思いに遊ぶ。必ずしも本を読まなくていいのが「のうさぎ流」。パチンコ遊びでは子どもに得点表を書かせ、遊びついでに字や簡単な足し算も教える。貸し出しは懐かしの図書カードで、名前も貸し出し記録も自分で書き込み判を押す。季節ごとにお月見会や虫の観察会も行われ、恒例のクリスマス会ではバザーを開き、その収益で新しい絵本を増やす。「私が東京から通っていたころはな垂れ小僧だった男の子が、お父さんになって息子を連れてきたりしますよ」と、きよ子さん。「丸い食べ物持っておいで」と急に思い立って子どもたちに呼び掛け、もちやミカン、団子などを持ち寄り中秋の名月を眺めたりするひと時が一番楽しい。「ここの良いところは、『文庫のあるべき姿』を求めないところ。言い換えれば目指すべき目標がほとんどないってことなのかもしれない」が、それこそ図書館が充実した今でも文庫が子どもたちのオアシスになっている理由でもある。

近所の子どもたちとは大の仲良し
「でも、本の世界だけにどっぷり浸かっていてはダメ」。のうさぎ文庫の庭は自然の宝庫。ヘチマやひょうたん、トウモロコシ、サツマイモ、アサガオ、コスモス…。種まきをしていると通りかかった子どもたちが手伝ってくれ、収穫もする。

自分の原風景はなくなったから、せめてここは残したい―。ふと、昔を思い出し「子どものときに好きだったものって大人になっても好きなんだなあ」としみじみ思う。母から知らぬ間に受け継いだそんな思いを文庫に遊びに来る子どもたちに伝え、これからも大人と子どもが一緒に育っていける場所にしたい。本を読めば言葉が豊かになる。言葉の豊かさは他人への想像力を養い、人の痛みが分かる人間になれる―。

「母が自分に本を読ませた意味って、そういうことじゃないかなと思うんです」


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